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ミトミネ農場

IT業界の末席から農業の世界に飛び込んでみて日々感じたことや学んだ事を書き連ねます。

青枯れの原因を探る!土壌分析と施肥設計

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今回は、青枯れを起こしている圃場を想定した土壌分析と施肥設計を行いました。 青枯れは、ほとんどが根腐れが原因です。根腐れの原因にはいろいろな要因が考えられるようですが、土壌分析と施肥設計をしてみて、その原因を考察してみたいと思います。

土壌分析 

いつも通り、ドクターソイルを使って土壌分析を行います。土壌分析をすることで、特にミネラルの過剰・不足を把握し、青枯れの原因になりうるかを探っていきます。

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青枯れの原因の考察

施肥設計をすすめる前に、「青枯れ」の原因について整理していきます。青枯れは、このように葉がしおれてしまう症状です。今回のケースだと、順調に生育していたのに、突然「青枯れ」が起きたそうです。

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(画像引用:病害虫対策 青枯病 | ピロール農法ドットコム )

青枯れの原因は根傷め

青枯れの原因のほとんどは根傷めです。この根傷めは、夏野菜(トマト、キュウリ、カボチャ)で多く起きます。T/R比(葉/根の比率)は、常に根が多くないといけませんが、根に何らかの障害が起きて、根の量が減ってしまいます。

特に、夏場の植物は葉が大きく、光合成を積極的にします。また、根から積極的に水を吸い上げて、葉の温度を下げようとしますが、根に障害が起きてしまうと水があまり吸収出来ない状態になってしまい、葉緑素が活動できない33℃以上にまで温度があがってしまいます。

葉の温度があがると、自己防衛のために葉が一時的にしおれて、それ以上光を得ないようにします。これが長く続くと、永久にしおれてしまいます。根傷めの話とは別ですが、強烈な光があたって葉緑素が崩壊すると、葉がところどころ白くなる"クロロシス現象"が起きます。

根傷めの一例

  1. 葉の温度が上がる
  2. 根の障害で水がうまく吸収できない
  3. 葉の温度が下がらない
  4. 葉が一次的にしおれて光を得ないようにする
  5. 永久にしおれる(青枯れ)

その他にも、根傷めが起きる原因はさまざまで、 以下の要因があります。

  • なにかの濃度障害
  • 水分過剰で、根が酸欠状態に。 etc...。

こういった事象によって、根が働かなくなったり根量が葉より減ってしまったりしまうのが、根傷め、そして青枯れの原因です。

施肥設計

続いて、施肥設計をしていきます。

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施肥設計ソフトに土壌分析の測定値を入力すると、以下のような特徴がありました。

  • 石灰・鉄・マンガン・ホウ素がやや欠乏。
  • 苦土とリン酸がやや過剰。
  • CECが15と下限値を下回っている。 

前述した、青枯れ(根傷め)の原因との相関を考えてみると以下のような考察ができます。

  • 今回の分析では、ミネラルの過不足はあったものの、根傷めの直接原因になる量ではなかったため、ミネラルが直接の原因ではなさそう
  • ヒアリングによると、堆肥に「生ごみを発酵させたもの」を混合しているとのこと。この発酵が不十分だったり、腐敗物質が根傷めの原因になっている可能性あり。(※ 生ごみを入れる場合は堆肥全体の1割までがセオリー)。また、堆肥に酢をふりかけている。酸を入れることで微生物が最初は寝ているが、時間が経つにつれ目覚めていくため、時間差で根傷めが起きたのではないか。

今回の分析では、直接的な原因はわからなかったのですが、今後の対策としては基本である太陽熱養生処理をきちんとすることが良さそうです。

その他、施肥設計のTips

太陽熱養生処理向けの施肥設計は、1.5倍で施肥

太陽熱養生処理を行う場合、通常の施肥設計で設計した施肥量の1.5倍を施肥してもよいそうです。チッソは全て「菌体チッソ」になります。

ただし、アミノ酸肥料やC/N比が高い資材は、カビの発芽を促進してしまうため、1.5にするのはNGです。また、ミネラルだけ1.5倍入れても、吸着できる土や腐蝕部分が足りないので、堆肥を入れずにミネラルだけ1.5倍入れるのもNGです。

B/F値が100>1であれば、カビは発芽しない

カビの胞子は、バチルス菌などの小さな微生物が回りについていて、発芽できないようにしています。(植物の病気は、ほとんどがカビが原因)納豆菌のような細菌と、糸状菌といったカビの割合を示したのが、細菌/カビの比率の割合を示したのが、B/F値です。B/F=100>1であれば、カビ胞子は発芽できません。

太陽熱養生処理の際、チッソ肥料も施肥しますが、これによってチッソが供給されカビは発芽しようとします。しかし太陽熱を使って温度をあげるので、カビの発芽を防ぐことができます。

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バガスを入れれば、硝酸が減る

ケースとして、借り受けた圃場に「硝酸態チッソ」が多い場合、バガスなど「センイ」と「糖」が多い資材を入れて養生処理をすると効果的です。

バガスには、センイと糖がたっぷり入っているので、菌が無機態チッソと炭水化物(センイと糖)を食べて、菌のカラダの中で有機態チッソが作られます。

ちなみに、硝酸態チッソのような無機態チッソは、水に溶けている場合が多いですが、菌によっては無機態チッソを食べる菌も多いそうです。

酸化鉄が還元される

ミネラルのなかでも、鉄は酸化しやすいそうです。

  • 【酸化】2Fe+O2→2FeO(酸化鉄)
  • 【還元】 FeO +(H+)→ (Fe+)とH2O 

水の中には、H+とOH−があります。これと酸化鉄が結びつくと、還元反応がおき、鉄と水H2Oに変わります。

酸化鉄(FeO)は、Dr.ソイルで検出できませんが鉄(Fe+)は検出可能です。ということは、もしDr.ソイルで、鉄やマンガンが多量に検出される場合、土の中が酸欠状態(水分が多い)になっていて、還元が起きていると考えられます。例えば、土中の水分量が多く土が酸欠になると、根傷めを起こして青枯れの原因になってしまいます。そういう場合は、ワラなどを入れて水分量を整えることが大切です。