ミトミネ農場

IT業界の末席から農業の世界に飛び込んでみて日々感じたことや学んだ事を書き連ねます。

情熱カンパニー代表、三木 義和さんの農業ストーリー

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現在、実地研修で徳島県阿南市にある情熱カンパニーさんにお世話になっています。研修中、情熱カンパニーの代表である三木義和さんとお話ができる時間をいただきました。三木さんが農業をはじめた理由や現在に至るまでのストーリーについていろいろ教えていただきました。

情熱カンパニーとは

情熱カンパニーさんは、徳島県阿南市でキャベツやコメ、チンゲンサイなどの野菜を栽培しています。精神障がいを抱えている人の居場所を作る「チーム情熱プロジェクト」も実施していて、就労継続支援事業に取り組んでいます。2015年に行われたオーガニックフェスタ栄養価コンテストのキャベツ部門で最優秀賞を受賞しています。

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株式会社情熱カンパニー Facebookページ

三木さんの就農ストーリー

三木さんは徳島県藍住町出身で、農業を始める前は神戸で人材派遣業をしていたそうです。農業を始めようと考えたのが31歳の頃。その当時は「お年寄りもできてるんだから、自分だってできるはず」と考えていたそうです。また農業は、直販することができれば利益を上げることもできるし、いろいろなビジネスの展開ができる可能性があると考え、独立就農を目指して行動を始めました。

大きな農業をしたいと考えていたそうで、まずはトップリバーさんやサラダボウルさん等、有名な農業法人さんを視察することから始めました。その中で出会った、香川県にある「近藤農園」で約2年間研修をすることになりました。

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イメージ(フリー素材)

近藤農園さんのスタッフは、独立就農を希望する日本人スタッフやアジア圏の外国人研修生で構成されていて、レタスをメインに根付きのネギやコマツナなどを栽培していました。外国人研修生の作業レベルが高く、追いつこうと必死に作業をしたそうです。また、ハウスが空いている時期があれば使わせてもらい、採算性を自分で計算しコマツナなどの栽培に取り組んだそうです。

研修を初めてしばらくすると、近藤社長を通じて「徳島県の阿南市で農業をやりたい人を探している」という情報が舞い込んできました。当時阿南市では、農業をやりたい人がいれば土地があるという状況だったそうです。チャンスがあれば場所は問わないと考えていたので、阿南市で独立に向けて動き出すことにしました。 

農業の始め方はいろいろありますが、三木さんは経営継承制度事業の第三者継承を利用したそうです。費用は必要になりますが、ハウス設備やトラクタといった農機具もそのまま譲り受けることができる、いわゆる"居抜き買い取り"制度です。

経営継承事業|新規就農相談センター

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画像引用:農業継承 - |yamato-nougyo-souzoku ページ!

独立までの準備期間として、さらに2年間阿南市で研修をしました。香川県で既に2年間研修をしたので早く独立したいという想いも強かったそうですが、農業は地域に就職する仕事なので、この2年も地域との関わりを持つ意味で大切な時間だったようです。

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現在チンゲンサイやオクラを栽培しているオランダ式ハウスは、元々水耕設備あったそうですが、故障していて使われていない状態でした。設備に投資する資金も充分になかったので、水耕の設備を取り外し短期で収益があがる葉物野菜を作ることにしました。

最初は農協へ販売をしようと、当時農協が扱っていた野菜の中で短期で育つチンゲンサイをスタートすることにしました。経営委譲者だった方はコメはしていましたが、野菜はしていなかったため、ハウス栽培はひとりで作業をしていたそうです。

ー 元々、土耕向けに整備されていなかったので、石が多く苦労しました。大きな石があれば、ユンボを使って取り払いました。また、水耕設備の溶液が土壌に染みこんでいて、土壌改良の対策も必要でした。

対策を施行錯誤しているときに、ジャパンバイオファームの代表でとくしま有機農業サポートセンターの校長である小祝政明先生の勉強会を知りました。小祝先生の勉強会に何度か参加し、アドバイスをいただきながら改善していったそうです。

営業活動

ー 大きな規模でビジネスとして農業をしていきたかったので、お客さんが求めている野菜を作りたいと考えていました。そこで行き着いたのが、特徴のある慣行栽培でした。

最初のころは、チンゲンサイがなかなか売れず苦労し、パンフレットをつくったりして営業活動をしていたそうです。近隣でカット野菜工場ができたと聞けば営業し、カットネギ向けにネギ栽培をはじめました。このようにお客さんを見つけては、求めている野菜をつくっていきました。

ー 野菜を売るときに大切だと思うのが、「ロット」と「バラエティ」と「物語」の3つ。ある程度の量がないといけないし、品種がひとつだけだと展開がしずらいです。また、他の野菜となにが違うのか、お客さんに受け入れてもらえる物語があれば、野菜は差別化できると思います。

2015年のオーガニックフェスタ栄養価コンテストのキャベツ部門で最優秀賞を受賞した反響は大きかったそうです。

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ー お客さんの要望は「売りやすい野菜がほしい。おいしい野菜が売れる値段でほしい」ということに行き着くと思います。

情熱カンパニーでは、お客さんがコレだったら売れる品質や金額を逆算して生産するようにしているそうです。

ー 農業は、お客さんのことを考えて作る側面もありますが、自分が作りたいものを作る側面があるので、いろいろなカタチがあると思います。こういう農業をやりたいと決めて、取り組むことが大切ですね。もちろん、収益性も大切です。

 

野菜販売会社「菜々家」

徳島県にある農家数社で「菜々家」という野菜販売を管轄する会社を立ち上げていて、出荷先は十数社に登ります。菜々家では「生産したものを出荷する」のではなく、「お客さんのほしいものを作る」という"マーケットイン"をコンセプトに展開しているそうです。

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画像引用:菜々家Webサイト 事業イメージ

菜々家があることで、新たな顧客を獲得し、出荷・流通も効率化しています。

ー お客さんの「こんな野菜はないか?」というリクエストに1社で答えるのは難しいですが、菜々家全体になると柔軟に対応することができます。

菜々屋ができたときは、スーパーにテレアポしたり、問い合わせフォームから連絡して、バイヤーさんとコネクションをつくったそうです。ただし、お客さんと繋がりを持つことが出来ても、実際に生産できるかが難しいそう。安定的に生産し、一定の品質を保つ体制づくりや管理も維持する必要があります。

カンボジアへ進出

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元々、情熱カンパニーを立ち上げた時に、どんなことをやりたいことを企画書に落とし込んでいたそうです。そのなかのひとつに海外事業がありました。

菜々家のメンバーである各社は、それぞれ農業経営をしていて自立をしています。菜々家であげた収益は、新しいチャレンジに投資をしようと話し合いをしていたそうです。そこで、海外事業を提案し、菜々家で取り組むことになったそうです。

数カ国視察をした中でもカンボジアは、自国での野菜生産が少なく経済的にもまだまだ貧しい現状でした。こういった環境であれば、農業の未来が描けるのではないかと考え、カンボジアに進出することになったそうです。現在は、経済産業省の助成を受けながら、現地パートナーと会社を設立し、野菜やコメ、魚を作っているそうです。カンボジアでは、家造りのために煉瓦を使いますが、その煉瓦を採った跡で魚を養殖する文化があるそうです。日本の最先端の農業と現地のやり方を組み合わせながら、カンボジアで新しい農業をしているそうです。

原価の把握は大切

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ー 独立就農を目指すなら、原価管理は大切。

そう言って、原価表を見せてくれました。原価表は、作物ごとに必要な作業や工数、その作業に使う資材や、機械1回利用分の減価償却費などをまとめた表です。この原価計算をしていなかったら、値付けの際も一般的な値段に合わせてしまい、利益があるのか判断ができなくなってしまいます。また、この表で作業ごとの時間も分かるので、スタッフにも作業時間の短縮を意識してもらうことができるそうです。

感想

カンボジアを行き来し、とても忙しい日々を過ごす三木さん。もしかしたら研修期間中にお会いできないかもしれないと思っていたくらいだったので、今回このようにお話を聞く時間をいただけて、本当にありがたかったです。私も独立就農を目指しているので、経営継承制度の体験談や営業活動について伺えて、とても勉強になりました。三木さんは「どんな農業をしたいか」を明確にするために企画書を作成していました。私はまだ「農業したい。ITシステムを作りたい。直販でブランディングしたい。」程度なので、もう少し具体的にしていく必要があるなと感じました。

三木さん>貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました!