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ミトミネ農場

IT業界の末席から農業の世界に飛び込んでみて日々感じたことや学んだ事を書き連ねます。

農業の世界でオープンソースな技術が少ないシンプルな理由

つれづれ

今、私たちは日々農業の研修*1を受けているわけですが、その中でふと疑問に思ったことがあります。

「ITの世界では無料で活用できる技術は多いのに、なぜ農業の世界では少ないんだろう」

ITの中でもプログラミングに限っていえば、githubにいけば、何千何万というライブラリ群の中から自分のプロジェクトにマッチしたものを無料で利用することができます。また、stack overflowというQAタイプのサイトや、qiitaというプログラミングに関するノウハウサイトもあり、技術的な財産を世界中で一緒になって有効活用しようという文化があります。いわゆるオープンソースな文化です。

しかし、農業の世界では一般的に技術は秘匿されるもの、もしくは対価を支払われるべきものとして扱われているようです。今自分たちが研修を受けている農家さんはありがたいことにオープンな方が多いので聞いたらほぼなんでも教えてくれるんですが、一般的な農家さんに行くとよほど仲良くならないと教えてくれないと言われます。また本はかなり高額のものが多い*2ですし、勉強会にしても大なり小なりお金を支払うものが多いように感じます。

その違いはなんだろう?と考えてみるとシンプルな理由が見えてきました。

農業の世界で技術をオープンにしない理由

ITの世界では、技術を組み合わせてできあがる成果物は使う人の数だけ/解決したい課題の数だけありますが、農業の場合はどんな技術を組み合わせようとも成果物は1つしかありません。例えば、キュウリを作りたいと思い、様々な技術を学んでも、品種や品質に違いはあれど最終的に出来上がるものはキュウリです(当たり前ですね...)。

つまり、ITは技術それ自体よりも、それらによって出来上がるモノに対して相対的に価値が出てくるのですが、農業の場合は、技術がそのまま収穫量や品質といった価値に直結しやすいということです。

それを既存の農家さんは当然のこととして理解しているから、「技術を守ることは自身の収益を確保すること」と認識してあまり技術を他人に言わないのだと思います。

気づいてしまえば、そりゃそうか〜という感じですが、これまでオープンソースを活用しまくってきた人間からしたら非常に違和感を持つ部分でした。

技術をオープンにしないデメリット

"でした"とは言っても、違和感が完全に消えた訳ではありません。技術をオープンにしないということは、業界としての発展スピードを遅くするということだと思うので、諸外国との競争力強化や寡占化防止のためにもオープンにすることは多少なりとも価値があることと思っています。なので、このブログもそこに少しはコミットできるかなと思い発信しているという面もあります(受け売りですが...)。

また、技術を守って自身の利益を守っているように思えても、この時代、大規模農家や企業参入が増えて競争に負けていくことはおおよそ目に見えています。そこで今後農家がもっと大事にするべきは「成果物以外の部分で利益を生み出す技術」だと思います。

多かれ少なかれどんな技術も優れたものであれば普及して陳腐化していきますし、イオンとかソフトバンクとか今農業に参入していますが経営能力の高さはご存知の通りだと思います。そこで戦うには技術を持っていることは前提として、どう商売をしていくかがキモとなると思われます。

まとめ

農業技術はそれ自体が価値になりやすいのでオープンになりにくい。だけれども優れた技術であれば陳腐化して価値は薄れるし、企業参入激しいし既存農家は大規模化するしで生き残るのが難しくなってくるご時世で、必要になるのは商売能力なんじゃないか?というポストでした。

P.S. *3

参考

IT業界ではこんなふうにアウトプットすることが常識として考えられてます。 blog.stormcat.io

*1:とくしま有機農業サポートセンターさんにお世話になっています

*2:農文協の農業技術大系とか

*3:商売技術が大事とかいってますが、ゴールは商売で成功することだけではなくて、業界の発展スピードが加速し、人間が長く地球にとどまれるようサステナブルな農業が速く世界に普及することだと思います。キレイゴトですが...。