ミトミネ農場

IT業界の末席から農業の世界に飛び込んでみて日々感じたことや学んだ事を書き連ねます。

少量多灌水で硝酸態窒素を減らす!〜有機農業研修レポート〜

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「潅水は、熟練を要する」と有機農業の世界では言われています。その所以は、潅水の仕方によっては、せっかく与えた有機態チッソが化成肥料と同じ無機態チッソに変わってしまうからなんです。

栄養価コンテストのグラフ

硝酸値が下がると、糖度(ブドウ糖等)もビタミンCも抗酸化力(ビタミンB)も上がる傾向にあります。

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植物に硝酸態が多いと、グルタミン酸合成までの間で、エネルギーを使って合成するので、炭水化物を多く使ってしまうことになります。これにより、センイに回す炭水化物が少なくなり棚持ちが悪くなったり、重量があまり出なかったりします。

有機農業では、硝酸態チッソの肥料を使わずアミノ酸肥料を使います。有機ではアミノ酸肥料を撒いているからといって、硝酸態が発生しないかというとそうではありません。土壌管理の仕方によっては、アミノ酸肥料を使っていても硝酸態チッソが増えてしまいます。

アミノ酸態チッソの硝酸化

有機質肥料も酸化させてしまうと 、化学肥料と同じ成分になってしまいます。微生物が充分にいれば、有機態チッソを微生物が食べることで、菌体チッソになり酸化してしまうことはありません。

微生物が少なかった場合、一部はチッソガスN2として大気中に抜けていきます。残りのチッソ分は、硝酸化成菌が働き硝酸化します。自然のメカニズムとして、貴重なチッソ源が気化するのを防ぐために硝酸化成菌が働いています。

硝酸化成菌

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画像引用:硝化細菌(硝化菌)(硝化菌)

硝酸化成菌
  • 亜硝酸菌:アンモニア→亜硝酸
  • 硝酸菌:亜硝酸菌→硝酸

土壌を乾かしてしまうと、土壌の窒素も酸化してしまいアミノ酸態で施肥したとしても、硝酸態になってしまいます。

硝酸菌や亜硝酸菌が好む条件にしないことで、硝化を防ぐことができます。

硝酸化成菌の好む環境
  • アルカリ性の土壌
  • 乾燥した土壌
硝酸化成菌の発生を防ぐ方法
  • ・酸性(最適pH6.5)をキープする
  • ・小量多潅水で乾燥を防ぐ
  • ・もみ殻などを表面に撒き、乾燥を防ぐ(ただし、もみ殻は白なので冬に撒くと地温が下がってしまいます)
  • 撒いたアミノ酸を菌体にしてしまうことで、硝化を防ぐ。(酵母菌の散布等)

乾燥を防ぐためにもみ殻を表層に施用し土の乾燥を防いだり、pFメーターで土壌中の水分量を管理したりします。

潅水の仕方

潅水の方法については、こちらの記事で紹介しています。

ag.dotsnest.com

乾いた土のうえに水を撒くと、なかなか水を染み込みません。点滴潅水では、水を徐々に押しこむので、時間をかけて染みこむことができます。

ハウスの中はどうしても湿度が低く土壌が乾燥しやすいので、点滴のほうがいいと言われています。土壌団粒化がしっかりできていれば、点で水を与えても、毛細管現象で広がっていきます。

シェワー式は、管理はしやすいですが、点滴に比べ中の方まで水が染み込みずらいので、とにかく乾燥させないように注意します。

pFメーター

pFメーターの先が焼物になっていて、管の部分に水を入れてつかいます。乾いている土に挿すと、焼物から水が外に出ようとして圧力が発生します。この圧力を測定しています。

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  • 最適値:1.7〜2.9
  • 緑:正常
  • 黄色:水やり過ぎ
  • 赤:乾きすぎ

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画像引用:潅水量と自動化

pfメーターを使う際は、1日程度水に付けておきます。

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水を管の中にいれて、蓋をします。このとき隙間ができないように注意します。また、入れる水も、空気が抜けているほうがいいので、煮沸して冷ました水を使うと良いそうです。

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あとは土にさすだけです。しばらく待っていると表示が安定してきます。

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夏の葉物は「14時の葉水」 

ホウレンソウは、コマツナやレタスといった葉物に比べて葉の厚みがあります。ホウレンソウは、冬の野菜なので、太陽の光を浴びた時に熱が冷めにくい葉の構造をしています。なので、夏にはあまり合わない野菜です。一部のホウレンソウの品種では、夏にも栽培できるよう改良されているそうです。

葉物はこのように冬物が多いため、夏に育てる場合は、「14時の葉水」を行うと良いそうです。一番熱くなる14時に、葉に霧の水をかけてあげることで葉の熱を下げてやります。

光合成に最適な温度:8℃〜33℃

この葉水のことを考えると、点滴ではなく、シャワー式の潅水設備のほうが使いやすいです。どの方法も一長一短なので悩ましいです。

ハウスの遮光シート

太陽光が強すぎる場合、ハウスに遮光シートを設置する場合があります。

内張り

内張りしたシートとハウス屋根の隙間に熱が貯まるため、別の装置をつけて放熱する必要がある。夏は熱が溜まり過ぎるので、内張りより外張りがオススメなのだそうです。

外張り

外張りは中に熱が貯まりずらいです。

 

夏の暑い時期は、本来の生育期間より短い期間で育つ場合があります。短いからいいというわけではなく、環境を整えてあげることで本来の生育スピードをするほうがいいです。

 

この記事は、研修を実施する「とくしま有機農業サポートセンター」の許諾の元、筆者の復習を目的に記載されています。内容の正確性を保証するものではありませんのであらかじめご了承ください。内容に誤りや不適切な点があった場合こちらまでご連絡いただけると幸いです。