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ミトミネ農場

IT業界の末席から農業の世界に飛び込んでみて日々感じたことや学んだ事を書き連ねます。

クラウド型農業支援システム「アグリノート」の紹介と使い方〜有機農業研修レポート〜

有機農業研修

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ウォータセル株式会社の藤原さんをゲスト講師に招いての「農業ICT」講座。前半は「農業ICTの現状とこれから」について。後半は、ウォータセルさんが開発している、農業支援システム「アグリノート」の紹介と使い方について教えていただきました。後半の講座の内容をレポートします。

前半の記事はこちらから。

ag.dotsnest.com

ウォータセル株式会社

新潟県新潟市にある会社で、創業5年目を迎えます。現在、従業員が40名いるそうです。親会社がベジタリア株式会社、グループ会社にイーラボエクスペリエンス等がいるそうです。ベジタリア自体は、ビックデータ活用や植物病理の専門家が集まった会社で、グループ企業が一丸となって、植物科学とテクノロジーから農業にアプローチをしています。

ウォーターセル株式会社

ベジタリア株式会社 vegetalia, inc.

イーラボ・エクスペリエンス - elab experience

農業支援システム「agri-note(アグリノート)」

「アグリノートは、マップ・航空写真を利用したクラウド型農業支援システムです。ネットさえ繋がっていれば、利用デバイスに関わりなく使うことができます。農作業を記録したり、圃場を航空写真で視覚化して管理することができます。

アグリノート | 農業は、記憶から記録へ

どんなサービスかはこちらの動画を御覧ください。

アグリノートは元々、新潟の農家さんの声を元に作られたそうです。その農家さんは2町の畑だったのが、耕作放棄が増えてきた関係で20町にも拡大し、その管理に頭を悩ませていたそうです。

料金プラン

年額6,000円(税別) / 1ユーザー(月額500円相当)

※ 最大2ヶ月無料

アグリノート料金改定

アカウントを1つ購入し、複数人数で使うこともできます。しかし、作業指示などが発生する場合、ユーザーごとに指示したほうが利便性が高いので、作業者ごとにユーザーアカウントを購入したほうが良さそうです。

アグリノートが解決しようとする課題

アグリノートは、農作業の情報共有・記録に基づく議論と農作業の実施をすることでこれらの課題を解決し、一人あたりの生産性を高めることを目指しています。

  • 超高齢化
  • 大規模化
  • 人出不足
  • 離散圃場 など
アグリノートの特徴
  • 簡単操作
  • 航空写真による圃場管理
  • 記録のまとめ、自動集計
  • 農薬、肥料データベース完備
  • マルチデバイス対応
  • クラウドで情報共有
  • 豊富なデータ出力
記録できること

衛星地図に圃場を登録し、これらの情報をひも付けて登録することができます。

  • 作付作物情報
  • 圃場名
  • 作業記録(日付、作業項目、作業時間、写真、肥料名、など)
  • 生育記録(日付、草丈、葉数、葉色など)
  • 収穫記録(日付、品質規格・数量 など)

データは、畑ごとに時系列で表示されます。また、輪作対応もしていて過去に圃場でなにを育てていたかを見ることもできます。スタッフへの農作業指示を出すこともできます。二次元バーコードから栽培記録をみるシートを発行でき、トレーサビリティにも役立つことができます。

導入している農家さん
JGAPでアグリノートを活用

最近ではJGAPの導入に関心が高まっていて、そのための管理ツールとしてもアグリノートのニーズが高まっているようです。JGAPの取得によって、農家にとっては、農業情報が見える化できたり、得意先との信頼関係ができ、農作物に対する付加価値ができると期待されているそうです。

JGAPは、農場やJA等の生産者団体が活用する農場・団体管理の基準であり、認証制度です。 農林水産省が導入を推奨する農業生産工程管理手法の1つです。 第三者機関の審査により、JGAPが正しく導入されていることが確認された農場には、JGAP認証が与えられます。(引用元:JGAPを知りたい

 JGAPの管理項目(例)

  • 作業の記録をつけている
  • 記録、記帳類を保管している
  • 農薬しようを記録している
  • 栽培計画を立てている

アグリノートは、将来的にPlan・Do・Check・Actionを支援するツールになることを目指しているそうです。これにより品質向上・均一化し、収量の増加、コスト削減を実現し、生産者の収益が増加することを目指しています。

アグリノートの使い方

アグリノートの使い方は、公式の「操作マニュアル」があるので詳しくはこちらを参照してください。

アグリノート操作マニュアル | アグリノート

以下は、講義で教えていただいた操作方法の概要になります。

トップ画面

ログインするとこの画面がでてきます。大きく以下の機能があります。 

  • 作業予定
  • 作業実績
  • 作る(予定・記録の作成、生育記録の作成・収穫記録の作成)
  • 見る(予定・記録の一覧、カレンダー形式)
  • マップメモ(圃場メモの掲示板)
  • 基本設定(各種初期設定・DB)

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データを閲覧してみる

見る>「予定・記録の一覧」をクリックし圃場マップや作付一覧、圃場一覧から、閲覧したい圃場情報を見ることができます。

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圃場を選択すると、誰がいつどんな作業をしたのか、どんな肥料や農薬を撒いたのかなどの情報を見ることができます。

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収穫情報では、栽培情報を二次元バーコードとしてラベルにし印刷することもできます。

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栽培履歴はエクセルでも出力することができます。

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記録をする

作る>「予定・記録の作成」を選択し、記録をつけることができます。入力しやすいよう文字入力を減らし、ほとんどの項目を選択式で登録できるようにしているそうです。

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作業記録は、圃場や担当する作業者を複数選択できますが、1つの作業記録の中で登録できる"作業項目”は1つのみという仕様になっています。(作業項目を複数登録したいという声も多く、現在改良検討中とのことです。)

スマホアプリ

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アグリノート -  Google Play

アグリノート -  App Store 

アグリノートは、スマホアプリでも使うことができます。アプリでは、メモ欄のテキスト情報を音声から入力することもできます(現状Androidのみ)。また、端末のGPSから現在地も取得できるので自分の位置を確認しながら圃場の場所を見つけることができます。iOSの方は、一部Androidより機能が追いついていないところがあるそうです。

初期設定をしてみる

アグリノートの初期設定をしてみます。アグリノートを導入し使いはじめる前に、まずこの初期設定を行い、圃場や作目、使う資材等のマスターデータを登録していきます。

作目・品種を登録する

「作目・品種の登録」をおして、作目の登録をします。「作付新規作成」を押すと、品種と栽培期間を登録できます。一年に何作もするものは、作付名に◯月収穫とかにして、あらかじめ登録しておくとよさそうです。

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圃場・作付登録

「区画の作成」ボタンを押して、区画作成モードになり、角にピンを立てて区画を作ります。区画を確定ボタンを押すと、区画ができあがります。区画が作成できたら、右側の情報を入力し、なにを作付しているかなどの情報をひも付けていきます。面積は、下の方に参考面積が自動的に出るようになっています。

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作業項目の登録

あらかじめ作業項目にはサンプルが入力されています。不要なものを消したり、必要なものを追加することができます。

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農薬の検索・登録

使う農薬を検索して、登録します。

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肥料の検索・登録

農薬と同様に、使う肥料を検索して登録します。この肥料情報は、農家さんが登録すれば、全ユーザーが検索できるようになっているそうです。検索しても出てこない場合、肥料情報の登録・投稿から登録をすることができます。

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アグリノートを使ってみての感想

実際に農家さんが管理システムを導入する場合、

  • 初期設定の煩雑さ
  • 記録の入力が手間で継続しずらい

といった点がハードルになるそうです。それは確かにそうだなと思いました。

初期設定は、利用するにあたってのマスターデータなので、最初のうちに使いやすいように工夫して登録しておけば、その分、日々の作業記録がつけやすくなるかなと思います。日々の入力は確かに手間なのですが、「日報代わりに業務終わりに作業登録する」というルールを組織内でしっかり認識合わせしていれば、継続性のある利用ができると思います。

アグリノートは、今後も新しい機能を追加したり、さまざまな研究開発事業と連携したりして、どんどん使い方が広がっていくと思います。ビックデータや人工知能といった高いレベルでの活用にも期待できます。

アグリノートのみならず、こういったデジタルツールが発展し、農家の作業効率性や収益性を高めるには、まずたくさんの農家が積極的に利用することやプロダクトの改善点をフィードバックすることが大切だと思いました。なので、私も研修中からいろいろなツールを使ってみたいと思います!

藤原さん、今回は貴重な講義をしていただき、ありがとうございました!

※この記事は藤原さんに許諾いただき、作成・公開しています。