先日の研修に引き続き、今回も農機具の使い方について勉強していきます。今回は、代表的な農機具の耕うん機・管理機・トラクタの使い方についてです。
前回の機械実習はこちらから。
農機具メーカー
主要な農機具メーカーとしては以下の会社が上げられます。
農機具の種類
- トラクタ
- 耕うん機(土を耕すための機械。畝立てなどの機能がある)
- 管理機(耕すのはもちろん、各種作業ができる機械)
- etc...
ほとんどの耕うん機に管理機と同等な機能がついていることが多いようなので、両者にあまり違いはないようです。また、商品名にある番号はほとんどが馬力を示しています。
トラクタ
馬力によって大小あります。農業をやるなら必須ともいえる農機具です。地域ごとに、なんとなく使われている馬力が決まっているそうです。土を耕す"耕うん"だけではなく、畝を立てたり、マルチを貼ったりすることができます。
主な操作と機能
ギア(主変則、副変則)
主変則、副変則の2つのギアがあり、進行スピードの調整ができるようになっています。
PTO
ロータリの回転を調整できます。ロータリーの回転を早くすれば細かめの土になり、回転をゆったりにすれば粗めに耕せます。
耕深調節
ロータリの深さを調整できます。2段階になっているものが多いです。ロータリを下ろす際、しわを残さないためにもゆっくりにするほうがいいそうです。
油圧
油圧の調整ダイアルで、ロータリが上下するスピードを調整できます。
ブレーキ
トラクタは小回りを効かせるために、左右それぞれにブレーキが付いています。2つのブレーキに板を通して一つにすることもできます。道路を走る時にはブレーキを1つにして車と同じように使います。
駐車ブレーキ
車でいうサイドブレーキで、駐車時に固定するブレーキ
馬力
トラクタは一般的に20〜35馬力くらいが使われていることが多いですが、北海道などでは50馬力以上が使われています。
- 20〜30馬力 ・・・ 中山間地、5反以下の区画を利用する地域
- 50馬力 ・・・ 大きな平野部、5反以上の区画
キャビン
人が乗るところに壁があってキャビンがあるものと、屋根のみ設置できるものがあります。キャビン付きのものは高さがあってハウス内に入れませんが、中に空調やラジオが付いていて快適なのだそうです。
傾き自動(機能)
ロータリの傾きを自動調整します。
倍速
前輪が一定角以上切れると、後輪の倍の速度で回転し、小回りしやすくなります。
旋回上昇
回転時に、前輪が一定の角度以上になると、自動でロータリーが上昇します。
バック上昇
バックギアを入れると自動でロータリーが上がります。
作業機昇降スイッチ
レバー操作でロータリーの昇降ができます。
4輪駆動・後輪駆動切り替え
4輪駆動と後輪駆動を切り替えるレバーがあり、耕すときは4輪駆動にし、道路走行の際は後輪駆動にすることが多いです。
大まかな使い方
- 前後レバーをニュートラルにする
- ブレーキをセッティング
- 耕耘するスタート地点にいたら、副変速や主変速をセット(耕耘の場合は副変速Cか1。)
- ブレーキをセッティング
- PTOをセット(1はゆっくり)
- クラッチを踏む(動力を遮断)
- クラッチを踏んだ状態でエンジンを掛ける
- アクセルを操作し回転を上げる
- 前後レバーを前進に切り替える
- クラッチを外して動力を伝え、前進する
- 上げ下げレバーでロータリを下げて、耕耘しながら進む
- ロータリの高さを微調整して耕す
その他、使い方メモ
- トラクタ前方にレバーがあり、前のカバーが開くようになっている。
- バッテリー上がりになりやすいため、年に数回しかトラクタを使わない場合はバッテリーの線を抜いておく人もいる。
- オイル入れは前方横側にあり、定期的に変えるようにする。最近のトラクタであれば機械化されていてオイル交換の目安もモニタに表示される。オイルの指し棒が黒くなったらオイル交換。
- ラジエータの前にメッシュの網があり、草が詰まりやすい。定期的にゴミを取り除く。
- トラクタは同じ型であれば同じ鍵の場合があり、動かせてしまうためセキュリティには気をつけて管理する。
- 機種によるがアクセルは耕す際、2000回転程度にする。回転を全開にするとエンジンがダメになりやすい。
- クラッチは、エンジンの回転動力を伝達したり遮断したりする。クラッチペダルを踏み込むと動力を遮断し、ペダルを上げると動力を伝達してトラクタが前へ進む。
- ギアは、主変速と副変速それぞれにレバーがあり、副変速1に対して主変速1〜4速、副変速2に対して主変速1〜4速のように速さを調整します。道路走行の際は、副変速2で調整することが多く、圃場の耕耘では副変速1で調整することが多い。
- 前進・後進レバーを操作して、トラクタの進む方向を操作する。ニュートラルの状態にしておけば、クラッチを上げて動力を伝達してもトラクタは進まない。
- PTO(ロータリ回転)は、走行・旋回時はニュートラルにし、ロータリが回転しないようにする。荒起しの際は、回転1でざっくり耕し、細かく耕したいときは3にする。Rにいれれば、ロータリが逆回転になるので、圃場の端に土が寄っているのを均すときに使う。
- ポジションコントロールでロータリの深さを調整。オートコントロールは、さらに微調整するときに使う。
- アタッチメントをセットしたら、後方にある調節ネジを動かして高さを調整する。水平より若干上向きにセットする。
- 粘土質土壌用のロータリもある。(爪の数が違う)
- 寒い時はヒーターのマークが点灯するため、マークが消えるまで待つ。
- トラクタで耕耘すると、真ん中が低くなってしまうため、中間でロータリを調整して水平になるようにする。
耕うん機
簡易的なものから機能性に優れたものもあります。移動用の車輪が付いているものもあります。ミニ耕うん機は、抵抗棒を支えにしながら耕耘していきます。深さを出せないうえに、あまり広い場所で使うのには適していません。回転を逆転させると土を外側へはねさせて畝を作ることができます。
大まかな使い方
- 支え棒の高さを調整して耕耘する深さを調整する。
- 電源を入れる
- チョークを引っ張る(スロットルの蓋を締めてキャブレターが空気を吸気する量を絞り、混合気の燃料比を高めエンジンをつけやすくする。)
- リコイルを引いてエンジンを掛ける
- エンジンがかかったらチョークは下げる
- アクセルレバーを握り、前進しながら耕耘する
使い方メモ
- 長期保管をする場合は、燃料コックを停止状態にして、エンジンが止まるまで回転させて、キャブレターの中のガソリンを使いきります。そのほうが次回エンジンがかかりやすいです。
- オイル交換は忘れずに行う。
管理機
耕うん機と同じく土を耕しますが、あくまでも補助的耕うんに使います。管理機にはさまざまなアタッチメントが付いていて、畝立てをしたりマルチを貼ったりすることができます。ブロッコリーなどで行う土寄せ作業などでも使います。
大まかな使い方
- ギアをニュートラルにする
- アクセルを入れた状態にする
- リコイルを引っ張りエンジンを動かす
- ギアを前進にする
- ロータリギアを入れる
- クラッチレバーを押して前進
- ブレーキレバーを握りながら進行して耕耘
- 停止用のクラッチレバーを押して停止
使い方メモ
- 駐車する際は、傾かないようにするスタンドを出して安定させる。
- ロータリクラッチをオンにして、主力クラッチを入れると、ロータリが回転しながら進む。
- 耕耘の回転速度を決めるギアがあり、荒く耕したり細かく耕したりできる。
- 曲がる際は、曲がりたい向きのブレーキレバーを握って曲がる。
- キャブレターの下にオイル入れがあって、吸い込んだゴミをエンジンに入れないようにしている場合がある。そのため機械を斜めにしないように注意する。
おまけ
記念すべき、トラクタ初乗りの図。
この記事は、研修を実施する「とくしま有機農業サポートセンター」の許諾の元、筆者の復習を目的に記載されています。内容の正確性を保証するものではありませんのであらかじめご了承ください。内容に誤りや不適切な点があった場合こちらまでご連絡いただけると幸いです。