こんにちは、ゴールデンウィークいかがお過ごしですか? 僕らは、農業研修がお休みということで、少し遠出をして兵庫県は丹波市にありますパブリックキッチンさんのファームにおじゃましてきました。
まえおき
パブリックキッチンは去る2月に開催されたオーガニックフェスタ2016の栄養価コンテストで「小松菜の部」及び「グランプリ」のダブル受賞をされた会社さん。オーガニックフェスタのコンテストといえば若手有機栽培農家の登竜門的存在です。小松菜でこの糖度はすごい、と審査員の方々もビックリするほどの出来だったそうです。
※ 写真はPublic Kitchenさんのfacebook投稿より
また、作物の生産だけでなく、農家は全て無料の農家のためのwebサービスを開発中とのこと!
ということで、独立したらまず小松菜を作るつもりでいる、且つ前職の技術(インターネットテクノロジ)を活かした農業をしたいと考えている僕らとしては、是非とも訪ねてみたいと思っていました。
パブリックキッチンさんのこと
- ファーム
- カフェ
- webサービス(開発中)
の主に3つの事業を手がけていて、ファームは兵庫県丹波市にありますが、カフェは大阪の南船場と東京の吉祥寺にあります。現在、会社は代表取締役である山口さんがカフェ事業・webサービス事業・その他諸々を担当。ファーム事業は取締役である神川さんと、それに研修生の方が収穫出荷を1名で担当されているそうです。
元々、丹波で独立就農された神川さんは奈良の農場で経験を積み、その後丹波の地で独立就農されて、儲かる農業を目指して1人でがんばっていたそう。ただ1人だとできることが限られるので、仲間と一緒に会社としてやろうと声をかけていったが、方向性の違いで中々集まらず。そんな折、既に大阪にカフェをオープンし、丹波に仕入先を探しにやってきた山口さんと意気投合して、一緒に会社を作ることになったそうです。
ファームのこと
ファームは兵庫県丹波市というのどかな水田地帯にあります。よく丹波の黒豆とか聞きますがお米やお野菜などでもブランド化されていて結構有名だそうです。気候としては、盆地なので夏は暑く、冬は寒く日照量が少ないそう。また元々田んぼの土地を改良することが多いので手間はかかるそうですが、なるべく水はけの良い土地や条件の良い土地を借りるようにして工夫しているそうです。
圃場は15以上の土地に分散していて(農業用語で分散錯圃と言います)、広さは全部で約1.5町(1.5ヘクタール≒15,000㎡)*1で、すべて有機JASの圃場とのこと。そこで年間60品目以上の作物を作っているそうです。下に写真を載せてるので見てもらいたいんですが、僕らが見に行った時だけでも10品目以上はありました。
60品目ってだけでも凄いんですが、これだけの広い農地の管理(作付から手入れから収穫出荷までの様々な管理)を、2名でされていると言うんですからまた驚きです。たださすがに人手はほしいとはおっしゃっていました(笑)。
元気な野菜たち
スイートコーン、すくすくと育っていました。端の方は水はけが悪く育ちが揃いにくいとのこと。
ズッキーニ、丸い形のやつだそう。
いちご、人参、玉ねぎ、じゃがいも、スナップエンドウ、etc...。ここは水はけが良い土地で水は雨水だよりだそう。ただ豪雨の時に備えて畝は高めにしてあるとのこと。
小松菜、赤小松菜、ミニチンゲンサイ、水菜、春菊、etc...。色鮮やかですね。こちらは畝低めです。
大量のリーフレタス類!かわいいですね。
これなにかわかりますか?コールラビっていうイタリアの珍しいお野菜だそうですよ。初めてみました。アストロノーカを彷彿とさせますね、かわいいです。
育苗ハウスの様子。下に温度コントロールができるマットを敷いて温度管理をされていました。
こちらはジャックと豆の木さながらの、ナタマメの苗。
例の小松菜はどうやってできた?
元々田んぼだった土地を約2年間!ソルゴー(緑肥)で地力を回復させ、元肥でアミノ酸肥料を施肥していて、C/N比は高めを心がけているそうです。またえひめAIの葉面散布もされているようでした。
ちなみに、賞をもらった圃場とは別の圃場で出来た小松菜をたべさせてもらいました。自然な甘みがあって、生なのにサクサク食べられました。ただ茎のセンイ部分は小松菜特有の辛味が多少残っていて一株生で食べるのは辛かったです(笑)。畑に転換して一作目の圃場ということで、次作以降に期待です!
販路はどうしている?
野菜が少ない時期はほぼ自社カフェに卸しているが、それ以外だと50%はカフェで残りは直接消費者の方にボックスでお届けしたり、流通業者さんに卸しているそうです。
オーガニックフェスタで賞を取ってからというもの、引き合いがかなり増えたそうです。僕らが訪問している間も電話がきて、1つ取引先が決まってました。素晴らしいですね!また、東日本大震災以降、主に東京圏では西日本の野菜の需要が高まっていることも後押しになっているとのこと。
今後は?
ファームに関しては、神川さんの
「儲かる農業をしたい」
「5年後に上場を目指している」
「科学的な農業をできる人を育てたい」
という言葉に集約されるかなと思いました。また、webサービスに関しては、
「農家は全て無料で使える」
という部分に農家目線であることのこだわりを感じました。今後も生産管理の部分から始め、実際に自社や農家さんに使ってもらいながら機能を追加していくとのことでした。
工夫している点とか
予め米ぬかに、鉄とマンガン肥料を混ぜておいて、全部一緒に入れて散布できるようにしているそうです。鉄とマンガンは同じ割合で必要なので、こうしておけば使い勝手がいいそうです。
また、数字管理は徹底してやっていて、原価も最低と希望売値を持っておいてそれで交渉できるように全て計算してあるとのことです。1品目ならまぁ普通かな...と思うかもしれないですが、60品目以上あるんですよ。それををきちんと管理されているのは素晴らしいと思います。
堆肥は神戸からとりよせたバーク堆肥を使っているそうです。昔は家畜の糞が入ったものを使っていたそうですが、お客様でその家畜のエサが遺伝子組み換えじゃないか気にする方もいるからということで全て植物性の堆肥を使っているとのことでした。あと家畜糞はC/N比が低くなりがちなのでバーク堆肥にすることで高めのC/N比を維持するのに好都合だそうです。
結構木くず残っているんですが、特別な菌を使っているそうで、40日程度で分解できるそうです。
その他メモ
- ハウスは20x6mだと100万くらいで建てられた
- 光合成細菌を嫌気環境で培養中(多分水田用?)
- 種屋さんに行くとついつい育てたい種を買っちゃう
- 資材選びはめっちゃ時間かかる
- 太陽熱養生処理は年に1回で充分
- ソバージュトマト栽培で竹チップパウダーを使っていた
- 杉の削りかすをもらって雑草避けに
- お米のもみがらをもらって覆土として利用
- 丹波市がかなり有機農業を支援してくれている
ということで
実り多い訪問となりました。大変忙しい中対応してくださった神川さん、山口さん、ありがとうございました!
パブリックキッチンファームでできたお野菜を食べてみたい!という方は、大阪か東京のカフェに是非足を運んでみてください!もしくは、ボックス販売やマルシェも定期的にしているそうですので問い合わせとかfacebookの方をチェックしてみてくださいね。webサービスの方はまだまだ開発中とのことで、あまり深くは伺えなかったのですが、今後もウォッチしていきたいです。それと、一緒に働いてくれる方も募集されていたので、興味ある方は是非!