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ミトミネ農場

IT業界の末席から農業の世界に飛び込んでみて日々感じたことや学んだ事を書き連ねます。

ハウス栽培で小松菜を育てる手順をざっくり整理

有機農業研修 野菜別

前回に引き続き、今日(4/22)も樫山農園さんで実習でした。

今日は終日小松菜の作業で、

収穫>調整>袋詰め>整地>石拾い>播種>水やり

という一連の行程を朝の10時から夕方4時までやらせてもらいました。

この3日間で、小松菜ハウス栽培の作業を一通り体験させてもらったので、備忘の意味で一端整理しておきたいと思います。

【目次】

畝立て

www.youtube.com

なぜ畝をたてるか

農業してない人からしたら「畝はたてて当然」と思いがちですが、きちんと理由があってたてるものなのです。

今小松菜を植えている土地はどうして畝をたてるかというと、元々田んぼとして利用されていた土地なので、海抜がややマイナスです。なので、土砂降りや台風などで被害を最小限に留めるため、畝をたてて水の通り道を作って速く水がぬけるように、また水に作物が浸からないようにという理由で畝をたてているそうです。

逆にいうと、理由があれば畝をたてなくてもいいんです。例えば畝間もできるだけ播種して多く収穫したいとか、充分高地にあって水害の可能性が低いとか、そういう場合は畝をたてない選択もありだと思います。

管理機を使って畝をたてる

2日目のブログの管理機で畝立てにて書かれているように、畝をたてていきます。

実際に使っていたのは多分コレ↓

www.yanmar.com

エンジンの仕組みとしては、以下の動画が単純化されていてわかりやすいです。

www.youtube.com

管理機を使うポイント

前回のブログから引用。

  • 管理機は、4サイクルと2サイクルのタイプがある。4サイクルはガソリンのみで動き、2サイクルのタイプはガソリンとオイルを混合したものを使う。それぞれ違うものを入れてしまうと故障してしまう。
  • 土よけのパネルの向きや手前の車輪の高さを調節して畝を立てる。
  • エンジンを回すときは、ギアがニュートラルになっているか確認する。
  • アクセルレバーの小さい方を上げると進行が止まる。
  • 目の前に人差し指を立てて、一直線のイメージを掴んで、ゆっくり進行するとまっすぐの畝ができる。

加えて以下のポイントもあります。

エンジンをかける際

まず車輪を動かす部分と刃を回転させるロータリーのギアをニュートラルにしておきます。

エンジンをかける際は、チョークといって、空気の通り穴を閉めて(チョークして)一時的に爆発するエリアに通すガソリンの量を増やしてあげます。そうすることで、冬場や気温が低い場合にエンジンがかかりにくい状況を和らげることができます。

ギアはRと1・2・3があるのですが、マニュアル車と同じような感じで使えます。1が遅いですが力があり、2、3にいくに従ってスピードは速く、力は弱くなっていきます。Rはバックです。大体畝をたてるばあいは1にしてしっかり畝がたつようにします。大体2回同じ通りを行き来するとしっかりとした畝がたちます。

回転

刃は、くの字の刃が車輪の中心から複数円を描くようにでています。これを正回転・逆回転させることで、土をたがやしたり、畝をたてたりすることができます。

正回転:土を耕す際に使う。刃先から入り、土を耕す。エンジンへの負荷が大きい。

逆回転:畝立てをする際に使う。くの字刃の真ん中部分から土に入り、土をサイドにはける。よって畝がたつ。

管理機による事故

ハウスの端にいる時などにまちがってバックでアクセル全開にしてしまい、足が巻き込まれて切断するような事故がかなり多いらしいです。なので、前進・後退時はギアの確認を行ってから進むことが大事です。またパニクってしまわないようにすることも大事です。

レーキで整地

レーキ・熊手・ホーキ|金象印 土工農具の製造メーカー 浅香工業

いわゆる熊手のようなものです。これで畝の凹凸を極力なくして、あとで種をまく播種機での作業を楽にします。また、作物の生育を均等にする意図や、お客さんが来た際に見栄えを整えておかないと受注につながらないこともあるので、レーキでキレイにしておきます。

石拾い

前述したように、今小松菜を作っているハウスは、大きめな石がゴロゴロあります。恐らく元々田んぼで海抜が低いために川から石が流れこんだものだと思います。これが畝に多く残っていると、種が芽を出す際に邪魔になることがあります。出芽しないということはその分育っていたハズの小松菜が収穫できないことになるので、利益も自ずと減っていきます。なので、石拾いはしっかり行いたいところです。

またレーキで畝を平らにした後なので、なるべく手をつけないよう注意を払います。もしかしたら、レーキをかける前に石をとった方がやりやすいかもしれません。

播種

播種機は、菜々子 PWX−1というものを使いました。

畝は全体で4つあって、両サイドに2条(列の意)分、センター2つに11条分ずつで合計26条分植えることができます。

播種機のしくみとしては、手押しすることで、

  1. 種を植える分を掘り起こし
  2. 種を1,2粒落とし
  3. 土をかぶせる

を一定間隔で行っています。

種が供給される仕組みは、実際は少し違うんですが以下の画像がイメージしやすいです。

http://www.food-sommelier.jp/prog/02/maeda/CIMG1112.JPG ※ 画像はフードソムリエさんより

こんな風に1粒ずつ(ないしは2粒)しか落ちないような仕組みになっています。この時、コーティングされた球型のたねを使うと、この穴にキレイにはまって種がより正確に落ちるようになります。

この播種作業で条の間隔をあけすぎると、収量が減りますし、近すぎると、小松菜の葉同士がぶつかって生育不順をおこします。なので、適度な間隔を見つけて播種することが重要です。

コンパニオンプランツを植える

ハウスの中、4辺を大体3歩に1回、ハーブの種を4粒ほど手でつまんで、手蒔きします。これはヨトウムシといった害虫の被害を抑えるためです。さらに、ハウスの入り口付近にもサイドにパラパラと蒔きます。

参考: コンパニオンプランツ/一覧

草引き

ハウスの中に混入した雑草をできるだけ根からひっこぬいてハウス外に捨てます。

雑草がハウス内にあると小松菜のために設計した肥料や環境が雑草にもっていかれてしまい、小松菜が充分に育たなかったり、病害虫がわいてしまい虫食いになってしまう可能性があります。

また、雑草は生命力が強く、根部分だけでも生きていたら、また根が葉っぱに分化して再生してきます。なので、できるだけ根からひっこぬいてやります。

水やり

http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/a/akaringding/20160422/20160422171355.jpg

ハウスの両サイドに写真のような潅水チューブがついていて、2種類の放物線を描いて土に水を供給しています。

1つは、ゆるやかな放物線、もう1つは山なりな放物線を描いているのがわかるかと思います。前者は中央の畝に水を供給し、後者は両端の畝に水を供給しています。発芽には水が多くいるので、約25分間潅水します。

またもう一つ注意すべきこととして、もし風が強い場合はハウス両サイドの通風窓を閉めます。そうしないと、風の影響で放物線が崩れてしまい、潅水が均等に畝に行き渡らない可能性があります。さらに、潅水後はハウス両サイドの通風窓を開けないと、土の温度が上がりすぎて種が蒸し焼き状態になり、発芽しない恐れがあります。ここを忘れると今までの作業がおじゃんなので要注意です。

http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/a/akaringding/20160422/20160422171412.jpg

出芽した後は、このような水分計を用いて適切な潅水量に調整してあげます。

収穫

何ケース分収穫するかを決める

今回は7ケース分と、5ケース分を2日に分けて収穫しました。ケースの数は出荷パック数から逆算して求めます。なので、

  • 何本で1パック(1商品)作れるか
  • 1ケースで何本とれるか

は予め知っておく必要があります。この時、小松菜の大きさ(重さ)も加味しないと後の調整作業で大幅にむだが出てしまう可能性があります。また、私達のような作業に慣れていない者がいる場合は、その後のロスも考慮してやや多めに収穫しておきます。

収穫作業

収穫作業は手作業です。慣れると1ケース4~5分で埋まるのですが、それまでが大変です。

収穫する際はまず、小松菜を入れるケースの最適な配置、畝のどの方向に進んで収穫していくかを検討します。その際左利きと右利きも考慮します。

最適な配置と進む方向が決まったら、片手に小さめなカマを持って、もう一方の手で小松菜を少し倒します。すると白い根っこが見えてくる(見えてこない時も結構ありますが...)ので、根と葉の境目をスパっと刈り取ります。

この際、根っこを刈ってしまうと、土が多くついてしまい、後の水洗い作業が大変になります。

調整

http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/a/akaringding/20160421/20160421210427.jpg

ここでは、パックに入れる前の調整作業を行います。具体的には、

  • 余った根を切る
  • 葉についた泥を落とす
  • 虫食いや傷ついた葉を落とす

などです。

泥落としの時に、あまり水につけすぎてしまうと、鮮度が落ちてしまったり、計量時の誤差が大きくなりやすいので、収穫時にいかに泥をつけないかが、作業効率化の大きなポイントになります。

また、左利きの人はハサミを左利き用にするだけでも作業のしやすさがかなり違いますので、是非用意しておくといいです。

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袋詰め

大体、前回のエントリーの通りで、

キレイに整えた小松菜を一定の量ごとに分け、パック詰めをします。パック詰めは半自動で機械がやってくれるのですが、定位置に小松菜を置かないと小松菜がパックの締める部分に引っかかってしまうので注意が必要です。

です。ここが一番難しくて、慣れた人だと片手に2つの小松菜を持って量を調整するのですが、僕らは1つが精一杯ですし、量もなかなか合わない...。ここはだいぶ改善の余地ありです。

出荷の時まで冷蔵

最後は、流通業者さんが取りに来てくれるまで冷蔵庫で保管します。この時新聞紙やビニールシートなどで覆ってあげます。そうすることで急激な温度変化を和らげ、水分の急激な収縮で小松菜がしおれてしまうのを防ぎます。

その他

ざっくり上に挙げた流れが今回体験させていただいた小松菜を育てる手順になるかと思います。 私達が体験していない部分では、

  • 土壌分析
  • 施肥設計
  • 施肥
  • 一出荷分の原価計算

というのがあるかと思います。これも座学と実際は異なると思うので今後体験してみたい部分です。

改善したいと思った点など

今回の作業の中で、いくつか体力的にしんどい部分とか、第三者的にみてもったいないな〜と思う部分がありました。今後独立した際に参考になると思うので備忘として書いてみます。

1. レーキかけ

ハウスの中で手作業でレーキをかけるのはカナリ骨が折れます...。 そこで、代替案として機械を使う方法と、畝幅長の角材を使う方法があるかなーと思いました。

機械はこういうのですかね。

http://www.truetools.jp/shohin/honda/tiller/ff500_032.jpg

※ 画像は農機具通販ヒラキさまより引用

ただコストがかかるので、例えば、こんな角材を畝幅分に切ってレーキがわりになるし、安く抑えられるかも?

野菜の育て方.com様より引用

2. 播種

播種機を使う時、1条蒔きだと、畝幅が大きい時に、真ん中部分がかなり無理な体勢でやることになるので、時間がかかります。なので、ここはそういう機械を買うか、作るか、もしくは畝幅を小さくするかしたいところです。

また、多少改善される案として、土を耕して整地して播種して〜を1日の内にやれると、土が柔らかいので播種機も動かしやす、体力もそこまで使わずにすみます。

3. 収穫時の泥付きを最小限に

慣れた人でも収穫時に泥は多少ついてしまうと思います。収穫前に極力土を乾かしておくことができれば、土がつかずに調整時の作業を大幅に減らせることができるかもしれません。

ただ、水をやらないと土壌中の硝酸態窒素が増え、それを吸う植物はセンイが柔らかくなり、病害虫にやられやすくなったり日持ちが悪くなったりすると言われています。ですので、この辺は乾かしても硝酸化が進まないような施肥をあみだすとか、販売先を近いエリアに限るとかそういう工夫をしていくことが必要かと思います。

4. 調整作業によるロスをどうにかしたい

調整作業では、パックのグラム数を合わせるためにかなりの量の葉をもぎります。もぎった葉は大抵堆肥にするか、家畜がいれば家畜のエサにするか、人にあげるかになります。いづれも間接的には売上に繋がるかもしれませんが、効果測定は難しいです。

できれば、加工をして販売するか、調整作業自体をしないでいい販売先なり方法を取れればいいなと思いました。

さいごに

小松菜は一般的に、収穫サイクルが速く、夏だと25日くらいで出荷まで育てられるらしいですし、葉っぱが商品になる作物なので、果菜類みたく長く育てる必要がありません。なので割と育てやすいと言われています。

私達も独立就農したら小松菜をまずはしてみたいと思っているので、今回の体験はとても勉強になりました。ということで、樫山農園さんでの研修は残り2日、頑張ります。

参考

若谷農園の小松菜栽培への取り組みをご紹介 - 環境にやさしい農業を目指すエコファームわかやホームページ

コマツナの栽培|農業専門の中小企業診断士秀農業経営コンサルタントのホームページ