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ミトミネ農場

IT業界の末席から農業の世界に飛び込んでみて日々感じたことや学んだ事を書き連ねます。

凄腕農家さんを訪問して感じたこと

つれづれ 有機農業研修

農業研修8日目の今日は、徳島有機ファームさんの農地を見学させてもらいました。

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元々エンジニアの方がゼロから農業を始め、現在ハウス16棟、露地5反(約5000㎡)を2名で面倒をみていらっしゃいます。 これ実際にいくとわかるのですが、かなりの広さです...。今7年目でこれを2名で回して、年間ウン千万の売上というので相当な凄腕です。

で、色々とお話を聞いた中で参考にしたい点を幾つか挙げてみたいと思います。精神論多めですがご容赦ください。

xx理論最高!じゃなくて、目的は「おいしい野菜を作ること」

僕らが今学んでいるのは、BLOF理論という冠のついた有機農業の栽培技術です。

3つの分野に分けて考察し、科学的・論理的に営農していくJBF独自の有機栽培技術

http://www.japanbiofarm.com/archives/001/201412/549b781ada2d3.gif 参照元: ジャパンバイオファーム:BLOF理論について

ここからは僕の完全な憶測です。

今までの有機農業は少し宗教チックなところがあり、恐らく創始者の思想に惹かれてxx農法を取り入れる人が多かったんじゃないかと思います。そうなると「思想先行で農法の根拠が曖昧なまま進めて失敗する」といったことが多かったんじゃないかと思います。

ですが、BLOF理論に関しては「収量・質ともに最高の野菜を論理的・科学的に作る技術」という部分でこれまでの有機農業の技術とか理論からは一線を画すところがあるんだと思います。

なので、これまで有機を本気でやって失敗してきた農家さんや勘と経験でやってきた農家さんとしては、「救世主がきたぞー!これさえやれば失敗しないぞー!」的な感覚があったんじゃないかと思います。

(憶測終わり)


でも、今回のお話の中で、

「BLOF理論はあくまで自身の農業研究の一部であって、他にも最先端の技術は取り入れていっているし、カスタマイズも相当にしている、あくまでおいしい野菜を作ることが目的」

というような旨の事をおっしゃっていたかと思います。そこに凄く共感できるものが有りました。というのも、その言葉の中に

  • 1つの事だけが正だと思わない
  • 手法(組み合わせ)はいくらでもある
  • 目的を見失わない

この3つの指針のようなものが含まれていたように思えたからです。

研修を日々受けていると、BLOF理論至上主義みたいになりがちですが、そうじゃなくて、他の比較対象を多く持っておくことで、今自身がしている事の正当性を裏付けることもできるかもしれません。また、理論自体は、肥料学と植物栄養学が合体したようなもの(と本講座の講師もおっしゃっていた)だそうなんで、もしかしたら根っこの理論は同じことを言っていて手法が異なるだけ、といった技術があるかもしれません。手法が違うだけなら、ケースによっては別の手法がいい場合もあるかもしれません。

今後、様々な最新の資材や品種がどんどんと開発される中で、それらの根本部分を自分なりにしっかり理解して、目的に合わせてやり方の部分をいくらでも考えだせるようにしておかないといけないな、と勝手にメッセージを汲みとってみました。

あと、実際に野菜ものすごく美味しかったです。畑からとってすぐに食べられました。醤油とかドレッシングは本当に何もいりません。これが野菜の旨味なんか...と驚かされました。

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↑葉っぱの裏を見るとごちゃごちゃっとしている部分があります。これが栄養が充実した野菜である証拠とのこと。

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↑こちらの写真をみると、最初の双葉が未だに青々として残っています。通常は枯れてしまったり黄色くなってしまうんですが、栄養がしっかり土にあり、植物に吸われているので、このように残っています。また根もしっかりしています。ここからも品質の良い野菜であることが伺えます。

理論と実践は異なる

あたりまえのことかもしれませんが、実際の現場には教科書に書いてないノウハウがたくさんあるのだなと改めて感じました。

例えば、今回見学させてもらった農家さんでは、教科書ではありえないC/N比(炭素とチッソの割合のこと。肥料を施す際に重要な指標)の肥料を使っていましたし、収穫前には水やりを少し控えめにして成長を調整していたり、育苗→定植という流れではなく直播きしていたり、本当はもっと収穫できるけど回数をあえておさえていたり。

それぞれ少しづつ理由は異なるかもしれませんが、いづれも、結局は"農業を経営するノウハウ"だったのだと思います。流石に教科書にはそれは書いていません、あくまで農業技術の本なので。もう少しいうと、教科書はあくまで植物にとって最善のことを言っていたり、世間一般に公開するものなので、"これならまず失敗しない"という原理原則を表記しています。なので、いざ農家を"営む"となると、作物本位とはいかない部分が多々あるのだと思われます、経営して食っていかなければならないので。

そういう意味でも、理論を学んだら次は現場に言って両者を結びつけ、自分のものにすることが大事だなと。いわゆる守破離のプロセスが大事だなんだろうなと思いました。

販売戦略をしっかり

これはあくまでいい作物が作れるようになってからの話ですが、これまで大抵の農家さんはいいものを作っても売り方を知らず、卸業者に買い叩かれてしまうことが多いそう。だから農家自身がしっかりとブランディングをして付加価値をつけて販売することが大事になるとおっしゃっていました。なので、そういった販売方法を学ぶ勉強会も定期的にしているそうです(以下リンクからニュースレターに登録すると各種勉強会の案内を貰えるとのこと)。

organicjp.wix.com

誰にどういう価値を感じてもらって販売するのか、これはかなり農業技術とは別の技術が必要になるので、難しい所だと思いますが、寧ろここから決めることができれば、逆算して何をいつどれだけ生産すればいいか決めるのも楽になりそうです。

なので、自身の作る作物を考えるのも重要ですが、先輩方の意見も聞きつつ、販売戦略を練りながら研修を進めることも肝要だなと思いました。

ちなみに、今回伺った農家さんは、卸業者さん、レストランなどの個人/法人に対して複数の販路を持っていて、しかも全て買い取りのお客さんだそう。しかもきちんとブランディングしているので、通常よりも1.2~1.5倍近い高い単価で売ることができています。

農家と卸業者は対等の関係

僕はこれまでどちらかというと「農家より卸業者が偉い」というスタンスの農家さんを見たり聞いたりしてきました。要は、「卸業者の言い値で作物を売らなければならない」という状況のことです。これは過去にベトナムのとある農村で直接聞いた時もそうですし、タイの大抵のキャッサバ農家さんも同様だと聞きました、また日本でも大手企業との契約栽培になると、主従関係ができてしまうので、同じことと思います。これらは、恐らく農家さん自身で販路を開拓する術が無かったためです。

ですが、今回訪問した農家さんは自身でブランディングを行い、収量/品質ともにいいものを作っていたので、webから問い合わせが来たり、向こうから話が来たりと販路を自身で確保することができた。なので、例えば、今回は少し多め/少なめに取れたのでそれで出荷しますといってもOKだし、買い取りで出荷することができるそうです。

安売りのゲームにのってしまうと、いくら頑張っても農家が損をするだけということはわかりきっています。IT業界でもそうですが、しわよせは常に末端にいきます。いつも末端が苦労するだけです。

なので、まず自身が作るもののどういう部分に価値をおくかを決めます。そしたらその価値を自信をもってブランディングして、価値を感じてくれた顧客と付き合うというのが大前提だと思います。その結果としてはじめて対等な関係でお付き合いをすることができるんだろうなと感じました。

農地管理ソフトは自作

これは、元エンジニアの経営者ならではだと思うのですが、農地管理ソフトを自作されていました。 いつどんな作業をした、どんな肥料を用いた、どんな作物を育てた、生育具合などなど。様々なデータが集約されていました。 有機JAS認証を受けるために少し改良したとおっしゃっていましたが、その前から徐々にソフトに改良を重ね、今に至るそうです。

データが蓄積されるというのは、将来の予測が立てやすいということなので、あって困ることはありません。また、市販のものだと融通が効かないので、やはり自分でできるならしておきたい部分です。

僕も今はまだエンジニアとしてついてけてる方だと思うので(汗)、これまでのスキルを活かして、今後農業経営する中で、効率化できる部分、見える化した方がいい部分を、見出して随時対応していきたいなと思っています。ビジネスチャンスにもなりえますし。

以上です、ではまた。