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ミトミネ農場

IT業界の末席から農業の世界に飛び込んでみて日々感じたことや学んだ事を書き連ねます。

【実習】発芽と生育の温度管理と育苗の仕方〜有機農業研修レポート〜

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今日ははじめての農業実習の日です。この日は育苗について学習し、午後から育苗の一部の作業を行いました。それではいつものように学習した内容をレポートします。

育苗とは

育苗とは、植物の苗を一定期間人工的な環境下で発芽・育成させ、その後田畑に移植することです。(Wikipedia:育苗

発芽と生育の温度管理

品目によって発芽・生育に適した温度帯があります。例えば白菜は20℃〜25℃が適温です。温度帯からずれた場合、発芽率が悪くなってしまいます。また発芽率は水の影響もあります。

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また「発芽適温」「生育適温」が品目によって決まっています。夜間と中間で温度が違う品目があって、"変温管理"させたほうが生育が活発になります。最初からロスする分(発芽しない分)も見越して多めに巻きます。他の品種に比べ、アブラナ科は発芽しやすいです。

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画像引用:発芽適温の目安(© TAKII & CO.,LTD.)

販売されている種には、発芽率や有効期限が記載されています。この有効期限は、一年前に発芽試験をしたときの期限です。

<種の表示の例>
発芽率・・80%
有効期限・・16.12

育苗する方法

育苗するとき、種はプラグトレー(ゼリーの型みたいなやつ)に撒きます。昔は、畑の一角に苗床というスペースをつくって種をバラマキして、本葉が出てきたところで抜き取って畑に定植していたそうです。

プラグトレーの種類

プラグトレー自体の大きさは同じで、穴の数(土の量)が変わります。根のつまり方、ハリ方、水持ち考慮して、それぞれ最適なプラグトレーを使っています。

根が多い→土がたくさん必要→水の吸収が大きい→トレー穴が大きめの方がいい

根が少ない→土が少なめでいい→水の吸収が少ない→トレー穴ちいさめ

プラグトレーの種類

128穴:白菜、キャベツ、ブロッコリー
200穴:レタス、リーフレタス、ネギ
288穴:葉物、玉ねぎ

この他にもいくつか種類があります。

育苗の流れ

  1. 土を入れる
  2. 水を入れる
  3. 播種(種の入れる穴をつくって入れる)
  4. 覆土
  5. 水やり
  6. 蒸し込み(発芽促進作業)*発芽はさせても出芽はさせない
  7. トレーを広げる *出芽させ双葉をつけさせる
  8. ポットに鉢上げ
  9. 定植(土へ植え替える)

※ プラグトレーを使っている=蒸し込み中と混同しないようにしましょう。

育苗する際のポイント
  • 育苗用に使う土は、根がでやすいように細かい培土を使います。
  • 培土は一度乾くと次に水が染みこみにくくなるため、乾燥させないよう充分に水やりを行います。
  • 種を植える際は、種の向きが同じになるようにします。
  • 種の大きさの三倍くらい深く埋めます。
  • 覆土の際は、「バーミキュライト」というキラキラした土を使います。バーミキュライトは保水性がよく、光が反射するので熱を遮断でき乾燥を防ぐことができます。
  • 発芽促進作業の際、種は固い殻から芽がでてくるので、種に充分に給水をさせないと芽がでてきません。発芽促進の際には、適温かつ湿度の多い環境にします。また暗所にします。
  • 葉物はプラグトレーから直接定植をしますが、果菜類は鉢上げをし、しっかりとした葉ができるまでポットに入れて育てます。
  • オクラは根が弱いので、育苗はせずに直播きで育てます。

種を植えて出芽するまでの流れ

種→芽がでる→出芽する→双葉ができる→本葉というように生長していきます。

  • 発芽:種から芽がでる(全体は土に埋まっている)
  • 出芽:芽が伸びて土からでる

発芽はさせても出芽はさせるな

発芽促進作業をする際、種の給水を均一に発芽させ揃いをよくするために、土の植えに芽がでる前に必ず、トレーを広げて発芽促進作業を終わらせる必要があります。(種から少し芽がでた状態。土から出さない)

トレーを広げて光をあてると、双葉をつけようとするため、茎の低い苗ができます。もし、トレーを広げる前に土の上に芽がでてしまった場合(発芽促進作業を失敗)、双葉がでるタイミングが遅くなり、枝が長くなった状態で双葉ができてしまいます。このように苗が映えると、倒れやすくなったりして苗の管理が難しくなります。発芽状況を確認するときは、複数個所を掘ってみて確認したほうがいいです。

寒冷紗で光から守る

夏のビニールハウスで発芽促進をする場、「寒冷紗」という資材で光から守り、水を省略化します。

エアープルーニング

トレーに広げたり、ポットに鉢上げしたあと、地上から浮かせて設置します。底から空気いれることによって光がはいるので、光に反応した根はそれ以上伸びないようになるため、根が穴から出ません。根があると作業がしにくくなります。

レアケース:玉ねぎの育苗

玉ねぎは生命力が強く、1反に植える本数が多いです(1反に何万本も植える)。また生育期間も長い(キャベ25日/玉ねぎ60日)ため、畑の一角で育苗を行います。施肥をした畝にネットを敷き、その上にトレーをおき、根をそのまま這わせます。定植する際には、ネットごと根も引き抜いて定植します。

実生苗と接木苗

苗には、実生苗と接木苗の2種類があります。

  • 実生苗:種を撒いて育てたもの
  • 接木苗:病気に強い苗(台木)と作りたい苗(穂木)をつなぎ合わせたもの。

きゅうりの穂木にはかぼちゃの台木などといったように、接木苗の穂木と台木のパターンは決まっています。病気につよいため、一般営利農家では接木苗を使う場合が多いです。

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画像引用:ブログ|誠心園 福岡県嘉麻市にある障がい福祉サービス事業所

蒸し上げ(発芽促進作業)の目安期間

発芽促進作業の目安期間も品目によって決まっており、以下のような日数になっています。発芽はさせても出芽はさせてはいけません。

  • アブラナ科:1日
  • 葉物:1日
  • きゅうり:丸1日
  • ナス:3日
  • トマト:2日
  • ピーマン:3〜4日
  • 青しそ:5日
  • パセリ:6日

育苗の期間中の肥料

育苗中は、生育中の養分を追肥無しで補えるような培土を使います。ポットで60日、プラグトレーで20日程度では養分がなくなるので、なくなったら追肥します。

プラグトレーを使う期間中
  • 20日程度で養分がなくなる
  • 15日目を目安に追肥を行う

*プラグトレーを使う場合でも「蒸し込み(発芽期間)」の場合は、すぐに肥料がなくなるので基本的に追肥していきます。

ポットを使う期間中
  • >60日程度で養分がなくなる
  • 50日目を目安に追肥を行う

肥料切れを起こすと下の葉から黄色くなります。養分は、新芽へと優先して送られるので、下の葉から黄色くなります。

蒸し上げ(発芽促進作業)をする場所

蒸し上げをするには、発芽室を利用したり倉庫を利用したりします。ほとんどの農家は発芽室まで整備できないので、倉庫などで環境を作っています。

発芽室を利用する場合

発芽室では温度と湿度を最適な状態にしています。個人農家では発芽室まではもっていないません。育苗センターや共同で持っている場合があります。

倉庫を利用する場合

少量(キャベツだと5反、トレー140枚分)であれば発芽室がなくても発芽できます。その場合、倉庫にトレーを積み重ねて、ポリシートやブルーシートで覆います。

実習

実習では、育苗の1〜9のフローのうち、以下の5つのフローを実習しました。

  1. 土を入れる
  2. 水を入れる
  3. 播種(種の入れる穴をつくって入れる)
  4. 覆土
  5. 水やり

簡単にですが、動画でまとめてみました。

土入れ・水やり・播種

土を入れて水やりをしたプラグトレーに、穴をあけて種を植えます。水やりではトレーの下が湿るくらいたっぷり水をあげます。今回はキュウリの種をうえました。ピンセットでつまみながら、種が同じ向きになるように植えていきます。種を植える機械もあるのですが、この作業をしていたら機械化したくなるワケが理解できました。意外に細かい作業で神経を使います。

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覆土

バーミキュライトというキラキラした土で覆土します。覆土したあとも水をたっぷりあげて土を湿らせます。

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発芽室で蒸し上げ

準備が整ったら、発芽室で蒸し上げ(発芽促進作業)を行います。「発芽はさせても出芽はさせるな」コレめちゃめちゃ大切です。

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今回は、発芽室は使わずに、シートをかぶせるなどして簡易的に蒸し上げの環境をつくりました。

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蒸し上げを終えた苗は、これ以上茎がのびないうちに双葉をださせるために、光を当てます。苗テラスでは、たくさんの苗が管理されています。

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とくしま農業サポートセンターには、土を混ぜあわせる「用土混合機」や「発芽室」、「苗テラス」などが整備されていました。機械は一台うん百万円するので、購入するのはさすがに難しいですが、大規模な農家では機械化で大量生産しているそうです。

 

今回の実習は以上になります。座学よりは実習のほうが動きがあるので楽しいです。明日もまた実習なのでがんばります!

この記事は、研修を実施する「とくしま有機農業サポートセンター」の許諾の元、筆者の復習を目的に記載されています。内容の正確性を保証するものではありませんのであらかじめご了承ください。内容に誤りや不適切な点があった場合こちらまでご連絡いただけると幸いです。